Wednesday, April 21, 2010

いわゆる「連濁」


  • 日本語の発音には、「連濁」(sequential voicing) と一般に呼ばれる、音韻法則らしき「音素交替」の現象がある。だがそんな全体的な「音素交替」の法則は実は現代日本語には存在しない。

  • 法則は説明のできない例外があっては法則にならない。たとえば中国語の声調に関する「第三声不連続」の法則や、英語の複数を表す形態素 /-s/ に関する「音素交替」の法則には不可解な例外はない。しかし「連濁」には「音素交替」の全体的法則と言うには恣意的としか言いようのない例外があまりにも多すぎる(たとえば『平仮名』はヒラナなのに『片仮名』はカタナ、『比叡山』はヒエインだが『高野山』はコーヤン)。

  • ではこの「連濁」と呼ばれる(「音素交替」の全体的法則とは言えない)現象は一体何なのか。「連濁」は、現代日本語に「音素交替」の全体的法則として存在するとは言えないが、「異音交替」(または「異音選択」と言うべきか)としては昔の日本語に全体的法則として存在していたようなのである。つまり今日の「連濁」と呼ばれる(法則のようでそうではない)「音素交替」の現象は実は昔の全体的「異音選択」法則の名残りに過ぎないと思われるのである。

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