漢音と呉音
- 日本語の漢字「音読」(「訓読」と区別される)は、大きく分けて、「漢音」と「呉音」のどちらかである。一言で言えば、「漢音」とは奈良・平安時代に遣唐使などが持ち帰った新しい「音読」で、「呉音」とはそれまでの古い「音読」である。
- このような命名は、勿論新しい読み方が生まれてからのもので、「漢音」の「漢」は、『(いにしえの)漢の時代よりの(尊重すべき)正統(とされる)』を意味し、「呉音」の「呉」は、『(勢力抗争に敗れて)南の呉の地方に生き残った(尊重に値しない)非正統』を意味する、とそれぞれ理解せねばならない。(「尊重すべき」は「学習に値する」意味になることに注意)
- 読み方の違いは「韻母」(シラブルの先頭子音を除いた部分)に多く見られるが、「声母」(先頭子音)によるもの(たとえば鼻音性の有無などによるもの)や、「声母」と「韻母」が共に異なるものもあり、完全且つ簡単な一般化は難しい。次の各例の一つ目が漢音、二つ目(赤で表示)が呉音(いずれも現代仮名表記による写し)。括弧内は関連熟語。
「韻母」が違う
家:カka(家庭) ケke(家来)
礼: レイrei(礼儀) ライrai(礼賛)
名:メイmei(姓名) ミョウmyou(本名)
功:コウkou(功労) クku(功徳)
金:キンkiN(金貨) コンkoN(金剛石)
言 : ゲンgeN(言語学) ゴンgoN(言語道断)
有:イウiu・ユウyuu(有益) ウu(有無)
一:イツitu(統一) イチiti(第一)
「声母」が違う
人:ジンziN(人生) ニンniN(人間)
万:バンbaN(万国) マンmaN(万年)
大:タイtai(大敵) ダイdai(大地)
「声母」と「韻母」が共に違う
平:ヘイhei(平安) ビョウbyou(平等)
図:トto(図書) ヅdu・ズzu(図画)
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