Friday, February 24, 2006

ライマンの法則 (2006/3/2)

  • 連濁はいくつかの原因によって阻止される。そんな原因の一つにライマンの法則 (Lyman's Law)の名で知られる制約がある。
  • 「後部要素がすでに濁音を含んでいる複合語では連濁は起こらない」というのがライマンの法則である。

Q

行、行、または行に始まる和語を後部要素とする複合語で、ライマンの法則だけによって連濁が阻止されていると思われるものを計六個列挙しなさい。

  • 複合語(compound) とは語幹同士の結合によってできる単語である。つまり「古鍵」(フルカギ)などは複合語だが、名詞句「古い鍵」(活用語 + 語幹)や丁寧語「お言葉」(接頭語 + 自立語)などは複合語ではない。

A

手鏡(て・かがみ) 岩陰(いわ・かげ) 花篭(はな・かご) 雛飾り(ひな・かざり) 朝風(あさ・かぜ) 街角(まち・かど) 白樺(しら・かば) 玉簪(たま・かんざし) 生傷(なま・きず) 宝くじ(たから・くじ) 星屑(ほし・くず) 天下り(あま・くだり) 気配り(き・くばり) 生首(なま・くび) 荒削り(あら・けずり) 力瘤(ちから・こぶ)

白鷺(しら・さぎ) 茶匙(ちゃ・さじ) 赤錆(あか・さび) 小夜時雨(さよ・しぐれ) 人形芝居(にんぎょう・しばい) 道筋(みち・すじ) 神楽鈴(かぐら・すず) 舌きり雀(したきり・すずめ) 小倅(こ・せがれ) 長袖(なが・そで) ざる蕎麦(ざる・そば)

花束(はな・たば) 一人旅(ひとり・たび) 手違い(て・ちがい) 大鼓(おお・つづみ) 山椿(やま・つばき) 茶壷(ちゃ・つぼ) 大手柄(おお・てがら) 大蜥蜴(おお・とかげ) 赤とんぼ(あか・とんぼ)

Wednesday, February 22, 2006

連濁と漢語 (2006/2/23)

  • 日本語の連濁 (sequential voicing) と呼ばれる形態音素交替 (morphohonemic alternation) は、和語で一番起こりやすく、漢語では部分的に起こり、いわゆる外来語では外来語という意識が特に薄い「カルタ」 (「いろはガルタ」) や「カッパ」 (「雨ガッパ」) など以外には起こらない、といわれている。
  • 連濁の起こる漢語のひとつが山 (サン) で、「火山」「氷山」「高山」「名山」などの普通名詞では例外なくザンとなるようである。しかし固有名詞では「富士山」と「比叡山」に見られるように読み方が分かれる。

Q

「富士山」タイプと「比叡山」タイプの山の名をそれぞれ五個挙げなさい。(知名度が低いと思われるものは発音の根拠と山の所在地をも示すこと)

A

(1989 講談社「日本語大辞典」より)

「富士山」タイプ

  • 男体山 「なんたいん」 (本州/関東) 
  • 白根山 「しらねん」 (本州/関東)
  • 剣山 「つるぎん」 (四国)
  • 石鎚山 「いしづちん」 (四国)
  • 天目山 「てんもくん」 (中国/浙江省)

「比叡山」タイプ

  • 大雪山 「たいせつん」 (北海道)
  • 羊蹄山 「ようていん」 (北海道)
  • 久能山 「くのうん」 (静岡県)
  • 天王山 「てんのうん」 (京都府)
  • 天目山 「てんもくん」 (山梨県)