漢字音読と旧仮名遣い(2005/12/22)

• 漢字の音読には、旧仮名遣いによる表記が新仮名遣いと異なるもの（新≠旧）と異ならないもの（新＝旧）とがある。
• 例えば「東京」（トーキョー CVRCGVR）の「東」は新旧共にトウ(CVR )である。しかし「京」では、新のキョウに対して旧はキャウである。（但しキョウもキャウもシラブル構造は CGVRで共に１シラブル＝２モーラ）
• 音読の仮名表記が「新≠旧」の（「京」以外の）漢字には次のようなのもあるが、シラブル数が「新≠旧」なのは「合」だけで、その他は全て「新＝旧」（１シラブル＝２モーラ）である。

考　　（新）コウ　CVR 　（旧）カウ　CV-G
王　　（新）オウ VR　　（旧）ワウ GV-G
合　　（新）ゴウ CVR　　（旧）ガフ CVCV
兆　　（新）チョウ CGVR　（旧）テウ CV-G
小　　（新）ショウ CGVR　（旧）セウ CV-G

Q
音読の仮名表記が「新≠旧」であり且つシラブル数も「合」のように「新≠旧」の漢字を五個掲げなさい（各表記の構造表示およびシラブル・モーラ数も）。

A

      合　（新）ゴウ CVR　(1S=2M)　旧）ガフ CVCV (2S=2M)
1)
2)
3)
4)
5)

日本語のシラブル構造と漢字音読(2005/12/15)

• 日本語における可能なシラブルの構造は、「分節音自然集合」(natural classes of segments) を代表する記号（C, V, G, Q, N, R, -G）によって次のように一般化することができる（括弧内は随意的要素、　R...　などは一個から無数個までの R、ということ）。

(C)(G)V(R...)(-G)(N...)(Q...)

• これは間投詞や叫び声などを含む全べての可能性を網羅した一般化である（但し「馬」「梅」を「ンマ」「ンメ」と発音する場合の「ン」が形成する単に N と表示できるシラブルは除外）。そしてこの一般化において括弧内の随意的要素の実現しない場合はもちろんいくらでもある。例えば漢字の音読には、(C)(G)Vだけによる 1 シラブル=1 モーラ 、それに付属拍の(R)(-G)(N)(Q)より一個だけが加わる 1 シラブル=2 モーラ、または(C)(G)VCV　と分析される　2　シラブル=2 モーラの三通りの組み合わせしかない。

Q
この三通りの組み合わせに該当する漢字音読の例を、（構造表示、漢字、平仮名の順に、そして構造表示に重複や無駄のないよう）三グループに分けてできるだけ列挙しなさい（但し 1 グループに 5 個まで）。
A
1 シラブル=1 モーラ
　　CV 　課　か
　　GV 　野　や
　　V 　亞　あ
　　CGV 　車　しゃ
1 シラブル=2 モーラ
　　CVN 　間　かん　　
　　CVQ 　学校　がっこう
　　CVR 　高　こう
　　CV-G 　会　かい
　　CGVR 　病　びょう
2 シラブル=2 モーラ
　　CVCV 　歴　れき
　　VCV 　一　いち
　　GVCV 　薬　やく
　　CGVCV 　出　しゅつ