- 音声はすべて時間軸に沿った流れである。
- 言語音声も、 時間軸上の流れを形成する さまざまな要素の連鎖である。 そのような音声要素で最小のものを、言語学者は近年 segment (分節音または分節素)と呼んでいる。
- 与えられたある言語において、互いに異なる(対立する)と認知される(よって意味を区別できる)分節音の種類を、その言語の segmental phoneme (分節音素)という。(単に音素と略称することが多い)
Q
日本語の分節音素の総数を(濁音、半濁音、撥音などを除外した)五十音図だけから推定し、結果(推定数値)をできるだけ簡単に説明しなさい。
A
- (上下五段と左右十行の構成を持つ)五十音図の各段及び各行は互いに対立すると認知されている。
- 五十個の仮名は一応すべて前部と後部の二つの分節音からなり、各行の対立は前部の(十種類の分節音相互の)対立、各段の対立は後部の(五種類の分節音相互の)対立を表すものとすれば、対立する分節音 の種類は全部で (10+5=15 より) 15 という計算になる。
- しかし「ア行」だけは事実上前部要素を持たない。 したがってより正確な数値は (9+5=14 より) 14 と推定する。