Monday, September 26, 2005

異音とは (2005/9/29)

  • 分節音相互の違いには無限の可能性があると言えるが、それは物理現象としての話しで、言語音声の実態ではない。
  • 分節音は単なる物理現象ではない。人間の脳からの制御と深く関わる要素である。したがってその区分は人間により制御可能なものに限られ、その種類も結果的に有限である 。
  • つまり(分節)音素体系の構築とは、人間が持って生まれた一定(すなわち有限)の分節音区分を、対立するものとしないものとに分けていく、実は比較的単純な作業、ということになる。
  • つまり対立という、話者が持つ認知の基準が、分節音をグループに振り分けて作った有限のグループ(集合)、その一つ一つの集合が音素なのである。
  • ある(分節)音素を形成する分節音集合のメンバーをその(分節)音素の異音 (allophone) と言う。即ち異音とは(分節音だけについて言えば)対立しない分節音、ということになる。

Thursday, September 15, 2005

分節音素 (2005/9/15)


  • 音声はすべて時間軸に沿った流れである。
  • 言語音声も、 時間軸上の流れを形成する さまざまな要素の連鎖である。 そのような音声要素で最小のものを、言語学者は近年 segment分節音または分節素)と呼んでいる。
  • 与えられたある言語において、互いに異なる(対立する)と認知される(よって意味を区別できる)分節音の種類を、その言語の segmental phoneme分節音素)という。(単に音素と略称することが多い)
Q

日本語の分節音素の総数を(濁音、半濁音、撥音などを除外した)五十音図だけから推定し、結果(推定数値)をできるだけ簡単に説明しなさい。

A

  • (上下五段と左右十行の構成を持つ)五十音図の各段及び各行は互いに対立すると認知されている。

  • 五十個の仮名は一応すべて前部と後部の二つの分節音からなり、各行の対立は前部の(十種類の分節音相互の)対立、各段の対立は後部の(五種類の分節音相互の)対立を表すものとすれば、対立する分節音 の種類は全部で (10+5=15 より) 15 という計算になる。

  • しかし「ア行」だけは事実上前部要素を持たない。 したがってより正確な数値は (9+5=14 より) 14 と推定する。