Wednesday, February 06, 2013

日中英三語の最大音韻異同


最大共通点:
 
何といっても、(全ての「自然言語」と同じく)基本的に母音を中心としたシラブルという要素による連鎖(「分節層」)と、それに被さるようにシラブルと平行的に存在する連鎖(「超分節層」)との二つの層を音韻的に持っていることである。(「分節層」のシラブルを構成する母音や子音は「音質」だけの問題だが、音声には「高低強弱」もあり、それらが全ての「自然言語」で「超分節層」の問題となる。全ての歌に歌詞とメロディーの二つの層が備わっているのと同じこと)

最大相違点:
  • 「分節的」には「分節音素」の総数や内容など及び「シラブル構造」などの違いが当然有るが、全体的に最大の相違点は「分節層」と「超分節層」との関係の違いにある。すなわち、「超分節層」の中に潜む「リズム要素」の、シラブルとの繋がりが、たまたま n ≥ m(日)、n = m(中)、n ≤ m(英)、というふうに異なるのである。このうちn は与えられた語句中の「リズム要素」数(俗に言う「拍数」)、m は対応するシラブル数。
  • つまり語句の拍数は、日本語ではシラブル数より多くはなるが少なくはならず、中国語では多くも少なくもならず、英語では少なくはなるが多くはならない、と言うことである。これは全く「リズム要素」と直接対応するものが、日本語ではシラブルの傘下にある「モーラ」だが、中国語ではそれがシラブルそのものであり、英語ではシラブルのうちの、「弱」のシラブルと対立する「強」のシラブルだけ、ということによる。
  • 言い換えれば、語句の拍数(=長さ)を決めるのは日本語では「モーラ」、中国語ではシラブル、そして英語では「強」のシラブルである。故にそれぞれ音韻的にmora-timed (日)、syllable-timed (中)、stress-timed (英)の特徴を持つと言えるのである。