連濁母体連鎖 (2006/3/30)
- 日本語の連濁(sequential voicing) という音素交替 (= 異形態の産出) は、ある種の形態素連鎖の後部要素だけに起こる交替現象である。そのような形態素連鎖を「連濁母体連鎖」と呼ぶことにする。
- 先ず(第一の必要条件として)「連濁母体連鎖」は二つの「重い」形態素の結合による「複合連鎖」(すなわち一般に「複合語」と呼ばれるもの)である。
- 次に(第二の必要条件として)「連濁母体連鎖」の後部要素としての形態素は「阻害音」obstruent (破裂音、摩擦音、または破擦音) を先頭子音に持ち、しかもその先頭阻害音は「連濁母体連鎖」の外部では清音(voiceless obstruent) である。
- 更に(第三の必要条件として)「連濁母体連鎖」の後部要素は前部要素と、単なる隣接関係ではなく、統語的枝分かれの末端として前部要素に直接修飾される(つまり意味的に直接限定される)関係にある。
- しかし「連濁母体連鎖」だけで連濁が必ず起こるものではない。上記の必要条件は必要条件(necessary conditions)だが充分ではないからである。では「必要且つ充分」(necessary and sufficient)な条件はどんなものなのか。一応の傾向はあるが答えは「不明」が実情である。
Q
連濁の有無のみによって異なる「連濁母体連鎖」のペアを五個列挙しなさい。
A
富士山(ふじ・さん)、比叡山(ひえい・ざん)
裁判所(さいばん・しょ)、観測所(かんそく・じょ)
水鳥(みず・とり)、山鳥(やま・どり)
霜月(しも・つき)、文月(ふみ・づき)
白熊(しろ・くま)、赤熊(あか・ぐま)
連濁の有無のみによって異なる「連濁母体連鎖」のペアを五個列挙しなさい。
A
富士山(ふじ・さん)、比叡山(ひえい・ざん)
裁判所(さいばん・しょ)、観測所(かんそく・じょ)
水鳥(みず・とり)、山鳥(やま・どり)
霜月(しも・つき)、文月(ふみ・づき)
白熊(しろ・くま)、赤熊(あか・ぐま)